萌黄の騎士






<わかっているはずだ・・・選ぶべき者が誰か・・・!>

三つの光が自分に集まってくる。
それぞれに意志をこめた光だ。
だが・・・

<・・・・私の元へ来い・・・!バイパーウィップ!!>

揺るぎなき、強靭な心。
この場で最も私を呼ぶ声。

<私のものになれ・・・!!!>

ひときわ強い波動―まばゆく輝く緑光が、私を強く惹きつけた。

(いいだろう・・・その心で、私を得るがいい・・・!)

バチィッ!!

残る二つの光を弾き、私は彼に向き合う。
黒い鎧に仮面をつけた、騎士凰牙の操縦者。
白いギアコマンダーを掲げながら、じっと意識を逸らさない。―支配者の風格―戦士の眼差しで、私を射抜く。

(新たなる主・・・凰牙を駆る者よ・・!)

私も視線を揺らさない。
真っ向から彼を受け止める。

それは儀式の様なものだ。
契約者への、私の挑戦。
我らを得んとする者に、須らく課せられる最初の戦い。
各々の<求める心>―自分達と自分達の備える力に相応しい器を示せぬ者に、主たる資格は無いのだ。

(私を捕らえてみせろ!!!)
「パイルセーブ!バイパーウィップ!!」
彼の―アルテアの声が朗々と響く。


バイバーウィップの声が聞こえたかどうか。
見事セーブに成功したアルテアは、仮面の下で微かに笑みを浮かべた。
それはいつもの戦場での不遜さとは、少し趣を異にする表情。
純粋な、歓喜と満足の感情だった。






萌黄の騎士
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